兄と笑い合ったのはどのくらいぶりか。



とてもいい時間だった。



「頑張って、帝国騎士団になってね、お兄様」

「あぁ、お前を守れるようになる日が来ることを願っているよ」



殿下に出会わなければ、私と兄はこんな風に話をすることもなかったかもしれない。



なんだか…幸せ。



私、今が幸せなのね。



「話は終わったようだな」

「殿下っ‼︎殿下も会議は終わったのですか?」

「まだだ。目で見て決めることにした。今年の試験は実戦にして、各部隊長からのスカウト方式にしてみる。紙の上での実績を見ても、全くおもしろくないのでな」

「それはやる気が出そうですね」

「俺も参加したい…」

「ダメでしょう…。殿下にケガさせたらと思うと、相手がかわいそうです…」

「…………あっ、アレク」

「えっ?」



振り返れば殿下に似た騎士。



若い殿下っ‼︎



むしろ、髪の色が陛下と同じで、陛下に似ている。



「はじめまして、義姉上。三男のアレクサンダーです」



ニコッと笑った顔は、これこそ『皇子』だと思った。