皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

しばらくすると、ガタンっと馬車が揺れる。



「どうした?」

「雪で車輪が…」



雪で進めなくなってしまった馬車。



たまには魔法を使おう。



「殿下、どちらへっ⁉︎」

「少し揺れるが、そのまま座っていろ」

「お手伝いいたします‼︎」

「ひとりで十分だ」



雪の積もる外へ出て、片方のピアスを外す。



風の魔法を応用すればいい。



馬車を浮かせ、揺らさないように雪から出した。



馬車を下ろし、道路に積もる雪を風の魔法で脇に退かせばいい。



「すごっ…。さすが殿下っ‼︎助かりました‼︎」

「子どもたちが待っているのでな。先を急ごう。何かあれば呼べ」

「ありがとうございますっ‼︎」



御者が深く頭を下げ、俺は中に戻る。



ピアスを元に戻せば、魔力なんか全く減っていないように感じる。



「殿下って、魔法、お上手ですね‼︎風の魔法ですか⁉︎」

「あぁ、お前は応用は苦手か?」

「全くできませんよ?魔力量は少なくないようですけど、苦手です」



それが普通の令嬢だ。