城の馬車だが、下町へ向かう他の者も一緒に乗っている。



変装した俺とアリスのことは他言無用だと、ジェードがお達しを出しているので民には正体がバレないだろう。



「殿下っ、お久しぶりでございます‼︎」

「お前は…チャーリー…いや、ハリーだったな」

「覚えてていただけたのですか‼︎光栄でございます」

「お前たちも下町組なのか?」

「はい。相手がいるので、子どもたちの喜ぶ顔を見たいと思いまして…。私は下町育ちなので、久しぶりの帰省も兼ねてます」

「そうか、楽しむといい」



ハリーとローズもいた。



俺が同じ馬車に乗っているものだから、周りは少し緊張しているようだし、アリスも静かに隣に座っている。



「寒くはないか?」

「大丈夫です‼︎ヒナがブーツも用意してくれましたし、ポケットに保温の魔法石も入っていますので」

「そうか。何かあればすぐに言え。風邪でもひかれたら困るのでな」

「はい、殿下」



とりあえず仲のいいふりはしておいた。