久しぶりに涙が出た。



報われない感情の行き場がわからなくて。



望んでも手に入らない。



努力しても無駄なのだと、はっきり言われたような気分で。



「アリス…?」

「は、いっ…」

「泣いているのか⁉︎なぜ…」

「なんでもっ、ないので‼︎お気になさらずにっ…」

「それではわからないだろう…。またすれ違うのは…耐えられない…」



涙のわけを話す勇気は、私にはない。



拒否されて、お飾りだと言われるのが怖い。



「アリス、ちゃんと話をしよう。俺たちに足りないところは、そういうことなのだと思う」

「殿下はっ、私を好きになることは…ないのですよね…?」

「ん?そんなこと、言ってないが…」

「ムリだと言ったではないですかっ‼︎」

「違う、そういう意味ではない。さっきのは…その…そういう気持ちに俺がなるのかと思って…いや、少し、アリスを好きなのかと思ったのだ‼︎もう、寝るからなっ‼︎」



引っ込んだ涙。



殿下の心に、初めて触れた気がした。