殿下は『好き』だなんて甘い言葉は言わない人だと思う。



きっと、殿下の『支配したい』という感情は私への興味。



嫌われていないというか、私のことをそばに置いておきたい程度には思ってくれているんだと思う。



「殿下のこと、嫌いではないです…」

「そうなのか。俺は嫌われていると思っていた」

「私に歩み寄ろうとしてくれたり、考えてくださいます。殿下とのお風呂の時間も、嫌ではないです」

「へぇ…」

「私が殿下を好きになったら、殿下はその気持ちを少しでも返してくださいますか?」



そう言うと、目を丸くした殿下は私から離れた。



ぽふっと隣に横になって。



背を向けて布団をかけた。



「殿下…?」

「ムリ」

「えっ…」

「少しほっとけ…」

「は、はい…」



ムリって。



私は殿下に愛されないということ?



頑張った言葉が、一瞬で否定された。



心が痛い。



陛下と皇后様のような、仲のいいふたりにはなれないということ。