皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

隅から隅まで歩いたら何日かかるのだろう…。



覚えられるかな…。



「広くて迷子になりそうですね…」

「お妃様は後宮に住むので、こちらの方には慣れていただかなくても構いませんよ」

「後宮、ですか…」

「殿下が夫婦別室を望まれたのです。お忙しい方なので、寝るまで執務に追われることも常なのですよ」



別に建てられた場所だと。



決められた男性しか入れないエリアを作り、そこに詰め込まれる。



どんな部屋なんだろう。



「こちらで殿下をお待ちいただけますか?ただ今呼んでまいります」

「あっ、はい…」



広い部屋。



あの先にあるのって…皇帝陛下が座る玉座なのでは…?



えっ、ここって何に使う部屋⁉︎



キョロキョロするのもはしたないので、黙ってジェードさんが来るのを待った。



どれくらい経ったか、かなり待った時。



「そんなもの、ここまで持ってくる話ではないのではないか?私が判断しなければ進まないような話ではないようなのだがな」

「そのように伝えておきます」



ジェードさんと話しながらやってきた、声に、慌てて膝を折って頭を下げた。