皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

そして、私が嫁ぐ日。



嬉しそうな父と母、無表情の執事に見送られ、皇族専用の馬車に乗った。



「粗相はするなよ。私のこれからにも関わるのだからな」

「はい、お父様…」

「では、しっかり務めを果たせ」



娘が嫁に行くのに涙ひとつ見せずに自分の心配をするなんて…。



外に女の人がいるとメイドの噂で聞いたことがあるのは、きっと本当だろうな…。



「アリス様、私はフィンリューク様の執事をしているジェードという者です。以後、お見切り置きを」

「あっ、よろしくお願いします…」

「ご説明からさせていただいてよろしいですか?」

「お願いします」



馬車の中で始まった説明をしてくれるジェードさんという方は、ハーフの獣人だろう。



深い緑の髪に、銀色の耳がついていて、同じ色の尻尾もある。



ハーフ獣人は美形と聞くけど、本当にキレイな人だなぁ…。



「まずは殿下にお会いいただきます。その後、お部屋への案内、城の中の案内をさせていただきます」



殿下に会うのか…。