皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

皇帝陛下はとても立派な方。



まだこの国が一つの国だった頃、前王が引退なされて、今の陛下が玉座についた。



その途端、前王が築き上げた同盟や約束事が一気に覆される事態に陥ったのだ。



それを終息まで導き、この大陸を『シュナウト帝国』としたのが、今の皇帝。



とても恐ろしく、冷たい人だと聞く。



その息子の皇子も、あまりいい噂はない。



私は通っていないが、学校時代は誰も寄せ付けなかったと。



怖い人なんだろうと、勝手に想像している。



「あの、お父様、皇子殿下とは…何番目の皇子なのでしょうか…」




第二皇子は明るくて魔法が得意だと聞いたし、末の第三皇子は近衛騎士団に入団し、実力が相当だと。



「むろん、第一皇子だが。次の皇帝はフィンリューク様と決まっている。これほど名誉なことはないな」

「そう、ですか…。どうして私が選ばれたのですか…?」

「私が宰相様に売り込んだからだ。そろそろ妃をと言う話が出ていたのでな」



わかっていた。