頭を上げたアリスに微笑む母上。



「お初にお目にかかります、アリスでございます。長旅、お疲れ様でございました」

「リュークの奥さんはとても美人だと、噂になったそうよ。ごめんなさいね、ワガママで仕事を押し付けてしまって」

「いえ、とても貴重な経験をさせていただいたと思っております。いろいろな国の方にもご挨拶ができて、私も有意義でございました」



しっかりしてるな、アリス。



その顔を歪ませたいのだが。



「父上、仕事のお話は明日以降でよろしいですか?」

「いや、今聞こう。明日から私は馬車馬の如く働かされるのでな…」

「信じられないですよ、あの仕事量…」



父上と城の中に入り、アリスは母上と話しながらどこかへ行った。



上着をアレンに渡し、ソファーにもたれる父上に、疲れは見えない。



リフレッシュできたのだろう。



たまには親のワガママも悪くない。



また、旅にでも出てもらおう。