皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

パーティーは嫌いだ。



エスコート役には毎回家の執事。



父が認めた相手としか踊らない。



誘われたら踊ってもいいリストがあり、それは頭の中に入っている。



今日も早く帰ろう…。



次々に誘われても、うまくかわす。



位の高い親の息子としか踊らない。



そんなことばかり繰り返していたら、いつしか周りの女性からは敬遠されるようになった。



友達なんていないに等しい。



私は父の人形。



思い通りに動き、思い通りに成果を上げるための…操り人形。



そんなある日のこと、珍しく父の機嫌が良く、兄も帰って来て家族で食卓を囲む。



「今日はお前に話があるのだ、アリス」

「話、ですか?」

「皇帝陛下の御子息である、皇子殿下が妃を迎えるとのことだ」

「皇子、殿下が…?」

「お前がその候補に選ばれた。数日後に城に上がることになった。準備をするように」

「お、お父様…。それは決定事項、なのですか…?」

「当たり前だ。皇族のご意向なのだぞ」

「わ、わかりました…」



私の嫁ぎ先が、まさかの皇族…。