皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

部屋に戻ると、なぜかいるはずのないアリスがいて、ジェードの姿がない。



「ジェードは?」

「書類を取りに城内へ戻るので、逃げないように見張っていて欲しいと…」

「ふぅん…」

「お疲れですか?飴、食べます?」



前にももらった甘いフルーティーな飴。



いつも持ち歩いているのか、小さな巾着から青色の飴が出てきた。



「…………」

「いらない、ですか?」

「お前が食え」

「残り少ないのに。いらないならあげませんから」



パクッと飴を口に入れるアリス。



拗ねたのか、プイッと顔を背けた。



イスに座り、ペンを手にする。



頭が回らない…。



「アリス、こっち来い」

「なんで、ですか?」

「遊んでやる」

「結構です…」

「聞こえなかった」

「…………」



そろそろと近づいてきて、俺の前に立ったアリスを膝の上に座らせた。



途端に真っ赤になる顔が面白くて。



「このまま仕事にかかろうか」

「私が見てもいいものなのですか…?」

「んー、ダメ。だから、お前の顔はここ」

「んぎゃっ‼︎」



肩に顔を押し付けると、なんだか抱き合ってるような体制になった。