【フィンリューク】



国民の祝日。



帝国記念日は、3日前から騒がしくなる。



招待した大御所達が、次々にこの城へとやって来るのだ。



王クラスの客には出迎えの挨拶があり、ルイが対応してくれる。



俺とアリスは、当日に行われる式典と、その後のパーティーで顔を出すのだ。



「なんなんだ、後宮に引き籠れって…」

「殿下のお部屋はゲスト部屋の近くなので」

「なんでジェードもここに?立ち入り禁止じゃなかったか?」

「執務が溜まっておりますので、緊急事態ですね」



最悪…。



使われてない後宮の一室が、執務室に変身してる…。



ルイが忙しなく動いてくれているので、ルイにも頼れずに。



まぁ、ここのでかい風呂に入れるのはありがたいが…。



「もう、ムシャクシャする‼︎」

「短気ですね、殿下は」

「タバコ吸って来る‼︎」



後宮の庭に出て、タバコに火をつけた。



あぁ、うまぁ〜…。



最近酒も飲まずに仕事に明け暮れ、たまにアリスをいじめ抜く。



おもしろいんだ、アレは。



「殿下っ…」



その声に振り向けば、あの日以来のリタ。



あり得ないほどの後退りの後、ぎこちなく礼を取った。