いつも通り、リムジンで学校まで行った。

また嫌な一日が始まるんだなぁ。

「今日はバスケがあるな」

「そうなの?」

「体育の内容を見てないのか」

あたしにはそこまで重要なことじゃないの!!

「俺、バスケ好きなんだよな」

「バスケ部入ればいいじゃん」

「出来たら苦労しねぇよ。出来ねぇから体育が楽しみなんだよ」

そういうものなのか。

「藤堂家の跡継ぎとして生まれてきた以上、自由に生活することは許されねぇからな」

御曹司も大変なんだね。

「ま、お前という遊び道具がいるからまだマシになったけどな」

は!?

でも、今日だけは怒るのをやめた。

響が苦労しているって分かったから。

「………何か言い返せよ」

「だって……」

「元気がないお前はお前じゃない」

え。

「お前は変わらないでくれよ」

そう言った響はどこか寂しそうだった。