涼しげなショートカットに170センチ近くある身長、ボーイッシュな見た目通りスポーツ万能で、女子バスケ部のキャプテンをやっている朱里。

梨花はそんな朱里とは対照的に、いかにも『女子してます』って感じの女の子。

長い髪はいつもピンクのシュシュやリボンでまとめられていて、スカートの長さはクラスで1、2を争うくらい短く、どんなに遅刻寸前でも化粧は欠かさない。

そして私……望月実優(もちづきみゆ)は、これと言った取り柄もない、成績も身長も容姿も、どこを取っても普通な中学3年生。

全くタイプの違う私達だけど、中1のとき隣の席だったことをきっかけに朱里と仲良くなり、中2のときに朱里の幼なじみだという梨花とも仲良くなった。

そして、ほんの2ヶ月ほど前。

3年生へと進級した私達は、幸運にも3人とも同じクラスになれたのだ。


「……な、何があったの?」

何となく予想は出来たけど、元気のない梨花に一応声をかけてみる。

いつも身だしなみバッチリなはずなのに、今日は髪の毛もそのままで、目には薄っすらとくまさえ出来て見える。

「昨日、彼氏とケンカしたらしいよ」

苦笑しながら先に答えたのは、朱里。

私はそのひと言で、「やっぱり……」と、同じく苦笑いを返した。それを梨花は見逃さない。