透明な海



アキとは放課後、待ち合わせたように駅前で会った。

「おう」と手を挙げる彼へ、「お疲れ」と返す。

「いやあ、一週間が長くてしょうがねえわ」

「まだ始まったばかりだよ」

「ほんと、おれかわいそう。切なくね? 好きでもない勉強のために週五日も早起きすんだよ」

「そうだね。嫌いなことのためのそれは辛いね」

「おれも十織みてえにできる頭持って生まれたかったなあ」


ホームの混雑具合はいつもと変わらなかった。年齢層も変わらない。

携帯電話を操作する人、腕を組んだ人、薄いティーシャツの人、上着を腕に掛けてシャツを着た人、学生服の数人組、薄いコートを羽織った人――。一度にそれほどの情報が視覚に入った。

「ああそうだ。この間、外側を完成させたパズルがぐちゃぐちゃになっちまってよ。十織今日も暇だろ? 手伝ってくんね?」

「それは災難だったね。いいよ、手伝う」

「おお、まじサンキューな。全然直せなくて困り果ててたところだからよ。助かるわ」

「パズルなら得意だから。力になれると思うよ」

「本当、まじ十織に頼むとあっちゅう間に完成すんもんな」

「あまりハードルを上げちゃあいけないよ」

余裕で飛んじまうくせにとアキが笑うと、電車が到着した。