「真紀ちゃん、いいこと考えた!!今夜は就職祝いをしようよ。2人で鍋パーティーしよ!!あっ、ケーキも買ってこよう」

はしゃぐ陸に促されて、買い物に連れて行かれた。

「陸、私まだ頭が追いつかないんだけど……」

「なんで?」

「だって、幼稚園から始まって、就職先までずっと一緒だなんて……」

「真紀ちゃんは、僕とずっと一緒なのは嫌なの?」

しゅんとした様子で、寂しそうに聞く陸。そういう顔をされると罪悪感を抱いてしまうのは、もはや条件反射だと思う。

「嫌とかそんなことは全くないよ。でも、とにかくすごく驚いている」

私の言葉に、陸は満面の笑みに変わった。

「嫌がられちゃったらどうしようかと思った」

「そんなわけないよ。陸のことは、家族と同じぐらい信頼してるし」

「ありがとう。それなら問題ないよ。一緒に仕事を頑張ろう」

「うん。そうだね」

まあ、いろいろ考えても仕方がない。
気持ちを切り替えて、その夜は陸とのお祝いを楽しんだ。

後日、母親に陸と就職先が同じだったことを伝えた。多少驚いた感はあったものの、なんだか当然のような雰囲気もあって、府に落ちなかった。