もう、国には帰れないのかな…。



リチャードにはもう会えないのかな…。



そう思うと、やっぱり辛い。



「キャサリン様、殿下からの伝言があるのですが」

「殿下…から?」

「『願いは決まったか?』と仰っておりました」



願い?



あっ、そんな事言われた気がする…。



「いえ、まだ…」

「そうですか。殿下にお伝えしておきますね」

「はい…」



これが私の部屋…。



なんだか、生まれ変わる前の私も、こんな『家』っぽい所に住んでいた気がする。



お風呂とトイレ、リビングにベッドルーム。



それと…。



「キッチン…」

「えっ?」

「キッチンが、欲しいです」

「キッチン、とは?」

「お台所です」

「えっ?炊事場…ですか?」

「あのっ、料理がしたいなーと…」



王族の結婚は、婚約から長いと聞いたことがある。



長くいる場所なら、料理がしたい。