【キャサリン】



お父様が国に帰った。



それはそれは涙涙のお別れで。



『あの青年はいい物を持っているよ。信じてみてもいいんじゃないかな?』



そんな言葉を残して行った。



それに、ジョアンも一時的に帰るといい、ひたすら心細い。



部屋で膝を抱える。



どうしよう…。



殿下は、何を考えているの?



コンコンっと聞こえたノックに返事をすると、あの騎士様、アレン様が顔を出した。



「キャサリン様には、別の部屋に移っていただくことになりました」

「えっ?ここではなくて…?」

「はい。ついて来ていただけますか?」



どうにも覚えられないお城の中で、キョロキョロしないように気をつけながらアレン様の後ろをついて行った。



ひたすら気分が重い。



これから私はどうなるの?



いつの間にか外へ出て、同じような建物が何棟か建つ場所へ着いた。



離れ…?