【キャサリン】



目が眩むほど豪華なホールに、沢山の王族や貴族の姿。



赤いドレスに身を包み、緊張しながら挨拶の順番を待っていた。



「お父様、いつになったらご挨拶ができるんでしょうね」

「うちのような小国は最後の方だよ」

「王様たちも大変ですね。こんなに沢山の人に挨拶されて」

「はははっ、僕だったら眠ってしまうかもね」



なんだと?



あなた、王様ですよね?



さすが、私のお父様。



広すぎるおかげで、国王様やお妃様の姿は見えない。



どんな怖い方かしら…。



緊張して、喉が乾いてきた。



何か飲み物が飲みたいな…、なんて思ったら、見たことのある方に声をかけられた。



「無礼を承知で、一緒に来てはいただけませんか?」

「ん?君は誰だい?」

「申し遅れました。シュナウト王国、第一王子付きの騎士でございます」

「ついてこいとは?」

「ご挨拶の順番が間違っておりまして、もうすぐ呼ばれてしまうのです」

「それは大変だ。ついて行くよ」



ん?



この方は…。