チラリとアレンを見れば、このチャンスを逃すなと、言わんばかりに頷かれた。



「昨日は助かった」

「あっ、の…王太子殿下とは知らずに…とんだ無礼を…」

「そんなことはいい。昨日のをもう一度頼めるだろうか」

「へっ?」

「握手するフリをして、頼む」

「は、はい…」



不思議な顔をしながら、握手をする。



ジワッと暖かい手。



やっぱりだ。



体が、とても楽になっていく。



「助かった」

「い、いえ…。あの、具合が悪いようなら、お花のお茶が効くと思いますよ?」

「花のお茶?」

「色々なお花のお茶です。とても気分が楽になったので…殿下もよろしければ試してみてください」



それはアレか?



王妃が好んで取り寄せている、爽やかなお茶だ。



「クククッ…」

「兄上が笑ってるの、珍しー」

「いや、すまない」



面白い女だな。



あんなもので、俺の体は治らないというのに。



だけど…あの女は…俺の目をしっかりと見ていたんだ。