んっ?


これは…間違ったかもしれない。



そう感じたのは、次々に挨拶をされていた時だった。



息苦しく…なってきた。



大丈夫だと、そう思っていたのに。



ピアスの石は、置いてきてしまっている。



何食わぬ顔で挨拶を受けるが、小刻みに手が震え出した。



脇に控えているアレンに手をあげると、俺の顔色に気づいたのか飛んできて。



「どうにか…してくれ」



小さく耳打ちした言葉に、すぐに離れていったアレン。



きっと、ピアスを取りに行ったんだ。



そう思っていた。



「マリーナル王国、ナルカナと、娘のキャサリンでございます」



目の前には昨日の女と、その父親がいた。



マリーナルのような小国は、最後の方に挨拶するはず。



きっと、アレンが順番を繰り上げたのだと、そこで気がついた。



瞬きが多く、俺と目を合わせようとしない女は、確かキャサリンと言ったか。