【キャサリン】



どこなのかわからない高い丘の上。



「うわっ…」



夕日が山間に沈んでいく。



真っ赤に染まった空気が、暗闇を徐々に連れてきた。



「すごく、キレイ…」

「寒くはないか?」

「寒くないですっ‼︎すごい、わぁ〜…」



なんとも幻想的な瞬間だった。



これは感動してしまう…。



この景色を見せたくて連れて来てくれたのかと思うと、胸がいっぱいになった。



「なにか特別なことをと考えていたのだが、忙しくてな。ここの景色がとても気に入ったので、キャシーにも見せたかったのだ」

「感無量という言葉は今使うのですね」

「それはなにより」



少し得意げな顔が、私を優しく包む。



その気持ちだけで幸せが溢れ出してしまう。 



いつもお城にいて、ほとんど外へ出られない。



自然に触れることもなく、忙しさに追われる毎日がウソのようだ。



こういうの、とても好き…。