しばらくするとドアが開き、動揺しているキャシーが現れた。



なんだ、その格好…。



まるで町娘。



飾り映えのないワンピースにエプロン。



「お前は何をしている…」

「ご、ごめんなさい…」

「まず、着替えたらどうだ?」

「そうします…」



ジョアンに連れられて着替えに行ったキャシーの気まずそうな顔。



ハァ…。



目を離したらよくわからない事態に陥ってるではないか…。



さすが野生児姫…。



「き、着替えてきました…」



いつものキャシーがやって来て、両手を握ってモジモジしている。



あぁ、リス…。



可愛くて何も聞き出せない気がして来た…。



「誕生日を祝いに来たのだが?」

「夜かと思って…たので…」

「まぁ、話は2人で聞くとする。ひとまず癒してくれ」

「は、はいっ‼︎」



手を握られて、癒しの魔法。



あぁ、回復して行く…。



気持ちいい程の癒し…。




「掴まれ」

「どこかへ行くのですか?」

「あぁ。見せたい景色があるのだ」



キャシーと一緒に見たかった景色まで、一瞬で連れて行ける。



そう考えると、この闇の魔法も悪くはない。