こんな日が来ることはわかっていた。



覚悟なんて、きっといつまで経ってもできないのだろう。



こんなにも苦しいなんて、想像できなかっただけで…。



リーナにデイジー様との約束を急遽取り付けてもらうと、『今夜は帰さないわ』と伝言を受け取り、お風呂を済ませてからデイジー様の部屋へ向かった。



デイジー様の部屋も、以前の孤立した建物ではなくなって、リオ王子と婚約した為に城内になった。



オレンジ色の暖かみのある灯りに照らされたデイジー様を見た瞬間、涙が溢れて止まらなくなってしまった。




「よしよし、おいで」



まるで子どもをあやすかのように、頭を撫でられてソファーに座らされて。



目の前に置かれたホットレモンティー。



止まらない涙を止めようとしないデイジー様の優しさ。



「辛すぎるっ…」

「そうね、同じ女として、心が痛い」

「ヤダよぉ…。もう、アンドリュー様の顔が見れないかもっ…」

「そうね、わかるわ…」



しばらく泣き続けた。