それから3日後、リーナの父が作った革靴が届いた。



「なんと見事な職人技」

「いえ、もったいなきお言葉」

「すばらしい。気に入った」

「そんなっ‼︎普通の靴でございます…」

「子爵の席がひとつ空いているのだが、もらってくれないだろうか」

「は、い…?」

「先日亡くなったパルダール子爵は独身で子もおらず、爵位がそのまま残ってしまっていてな」

「そ、そのようなものを私が持っても…」

「大丈夫、名ばかりで構わないのだ。今ならパルダール邸と馬が付いてくるし、悪い話ではないと思うのだが…。私を助けると思って、もらってはくれないだろうか…」



『考えさせてください…』と、出て行ったリーナの父は呆気に取られた顔をしていた。



まぁ、急に爵位をやると言われても意味がわからないしな。



その日の夜にキャシーに問い詰められる俺。



「どうして急にリーナのお父様に爵位を渡そうとなさっているのですか⁉︎」

「言えない…」

「リーナが泣きそうな顔して相談してきたんですよ⁉︎もし、リーナのお父様を嵌めようなんて思っていらっしゃるのなら…国に帰らせていただきますからね」



たくましくなったな、キャシー…。



でも、俺は親友の恋を応援したいのだ。



たとえお前にでも打ち明けるわけにはいかない、男の友情。



許せ、キャサリン。