簡単に外に出すわけにはいかない。



なにもなかった俺には、フィンを抑える思考も力もなかった。



だから、フィンを閉じ込めた。



『融合すれば、お前と俺はひとつになるのだろう?』

『ははっ、気づいたか、バカが』

『お前の思考は危なすぎる。民を危険に晒してしまうことは、安易に想像ができるからな』

『あぁ、俺が王になれば、やりたい放題やれるしな』

『だけど、今はキャシーがいる。キャシーへの気持ちが、お前の抑止力』



ふんっとそっぽを剥かれた。



図星をつかれると、いつもこんな反応をするのがフィンのわかりやすいところ。



『お前の残酷な所は、時には必要だと思う。俺には下せない判断も、お前なら躊躇なく下せる。国を背負う俺には、きっとこの先必要なことなのだ』

『で?どうすんだ?』

『キャシーに愛されたいなら、俺にお前を預けろ。もう、覚悟はできてるのだろう?』

『…………お前も覚悟ができたのなら、もう俺の意思は関係ない。キャシーによろしく伝えてくれ』



わかった、俺の友、フィン。



次は、違う形で出会おう。