父は気が弱いけど、可愛い人。



国民の気持ちをよく考えてくれるし、うちの国の貴族たちが大きな顔をしないのも、父がそうしてきたから。



そこは尊敬してるし、自慢でもある。



「お父様…」

「なんだい、キャサリン」

「どんな方と結婚したらいいのかしら…」

「そうだね、いちばんは…目かな?」



それは好みの問題だと。



お母様は目がぱっちりしていて、とても美人だった。



面食いの父が、平民だった母に一目惚れをして、周囲の反対を押し切って結婚したと聞く。



「わかりました…」

「違うよ?目はね、その人の人柄がいちばん出る物だと、僕は思っているんだよ。自分を見る目に、裏があるか、なにかを企んでいるか。それとも、誠実か、不誠実かとか、ね?」



姉の結婚の申し込みも、最後に判断したのは彼の目だったと、お父様は自信満々で言った。



私にはよくわからないけど、父はそれが『人を見る』ことだと、ニコニコしながら教えてくれた。