冷酷王子は子リス姫を愛でる

コンコンっとノックが聞こえ、顔を出したのは愛しい人。



「失礼します」



照れたように笑うキャシーに、旅の疲れが一瞬で吹き飛んだ気がする。



手を伸ばすと、ソロソロと近寄って来て俺の腕の中に入った。



「風呂に入ったのだな…」

「はい、もう寝る準備はできています」



いつも結われている髪が、なにもされずに下されている。



ハーフアップにすることが多いキャシー。



初めて見た。



スルスルと指を抜けていく茶色い髪。



リス…。



「キャシーに土産がある」

「お土産、ですか?」

「あぁ。喜んでくれるといいのだが」

「デイジー様のようなネックレス?」

「違う。こちらへ来てくれ」



木箱の中には、キノコがたくさん。



それを見て、やっぱり目を輝かせる。



「どうしたのですか⁉︎」

「帰り道だ。あと、リチャード王子が姉様によろしくと言っていた」

「えっ?リチャード…?まさかアンドリュー様、マリーナルへ行っていたのですか⁉︎」

「あぁ、すばらしい所だった。連れて行こうとも思ったが…なにかあっては困るのでな。許せ」

「いえ、簡単に帰れないことはわかっておりますので。アンドリュー様がマリーナルへ行ったことが、なにより嬉しいです」



ウソだがな。