こ、怖かった…。



私が選ばれなければ、正妃はきっとマリアンヌ様だったのだろう。



彼女の国は大きく、工業が盛んだと聞く。



きっと、候補の中では最有力。



なのに、アンドリュー様は私を選んでしまった。



正妃になると思い込んでいたのに、側妃に格下げされたようなものなのだろう。



その気持ちは私にはわからない。



もしかすると、小さい頃から大国に嫁ぐための教育なんかもされていたのかもしれない。



ごめんなさい、マリアンヌ様…。



でも、アンドリュー様の隣は譲りたくない。



私が、彼を支えたいの。



「ターシャ‼︎ただいま‼︎ひとりにしてごめんよ?寂しくなかったかい?」



ターシャ様に飛びつかんばかりに駆け寄って来たサネル王子は、無表情のターシャ様を抱きしめていた。



おぉ、ターシャ様、好かれてるのにスルーだ…。



ゆっくりと、アレン様と話をしながら帰ってきたアンドリュー様に、まずはお帰りの礼。