こんなこと、絶対許さないんだから。



「私、ジョアンがいなくとも平気だわ」

「キャサリン様…」

「お願いよ…。自分の幸せを優先して」

「私の幸せは、あなたが幸せになること。小さな頃からお世話してきたんですもの。私にとっては、娘のようなあなたより優先すべきものはないのですよ」



聞く耳を持たなかった。



でも、絶対にヤダ。



私のせいでジョアンが幸せになれないなんてこと、あってはいけない。



「私が幸せになれば…ジョアンはその方と結婚してくれるの?」

「どうでしょう」



そう言って曖昧な返事をしたジョアンだったけど、私もすぐに諦められるような性格ではない。



何度も失敗してショーユを作った時の執念を忘れたわけではないわよね?



こうなったら、殿下に相談するしかないのだ。



「リーナ、殿下に謁見を」

「かしこまりました」



私だって、母のように思ってきたジョアンの幸せを考えないわけないでしょ?