【キャサリン】



16年前、この地に生をなし何不自由なく暮らしてきた。



自分に他の記憶があると気がついたのが2年前。



転生というものなのだろうか。



2つ年上の姉が他国へ嫁ぐことが決まった日に、全てを思い出したかのように私の頭の中に記憶が流れ込んだ。



「16歳で結婚とか、早くない?しかも政略結婚とか、何時代…」



そう口走った瞬間、自分が何を言ってるのかわからなくなった。



そしてこの世界。



魔法が使えて、化学よりも魔法が主に使われている現状。



私が暮らしていた『地球』とは別の場所なんだと、いつもはしない言葉遣いの後に悟った。



私は宇宙人になったの?



それとも、全く別の空間とか、別の次元っていうの?



そんなこと、考えても答えなんか見つかるはずもない。



『私』はこの時を生きているんだから。



「姉さんと離れるのはとても寂しい…」



その言葉に涙を流す姉に、不思議な記憶を思い出し、涙が出なかった。