【短】Reduce


なぜかと言うと。

何かが違うと確信したのは、抱き合った後にシャワーを彼が浴びている時に、スマホから出てきたアプリのポップアップ画面。


『中河は落ちたのか?』


そこには、そう表示されていた。


私は、心が砕けていく音を聞いたような気がする。


でも、何も疑わず浴室から鼻歌交じりに出てきた彼に、問いただすことは出来ず、彼のスマホに背を向けて眠りに就いたフリをした。


通知相手が誰なのかまでは確認出来なかったけれど、あれは多分彼の同僚…又は飲み仲間の誰か、だ。


誰からも愛されない女…。


そんな、私を落としたことで、彼は賭けに勝ったのだろうか…?

凍てつく熱は、氷を生成するように心臓を突き刺した。