貴方は言った。



「この世界の全てを捨てても、美都だけは離さない」

と。

「世界の終わりがたとえ来たとしても美都を愛する」

と。


だけど…それは儚い夢だった。




そんな儚い夢から数年が過ぎ…。


この現状は一体何なのか。


仕事から疲れて、へとへとになって暫くぶりに早めに帰宅すれば。


がちゃり


ドアノブを引くなり、鼻につく趣味の悪い香水の匂いがして。



あぁ…ベタな展開か。


そう、なんだか他人事のように冷静に頭が働いた。



「や、あの!美都!これは、その…!」

「やーだぁ〜、何、彼女〜?タイミング悪ぅい」


言い訳はどうでもいい。
そして、タイミングが悪くてなんだ。

文句があるなら言ってみろ。
大体此処は私の住んでいるアパートであって、こいつの住処じゃないわけで。
人の神聖なパーソナルスペースで、何を考えて盛っているのか。
理解し難い。

それに、この体たらく。
テーブルの上もカーペットの上もぐちゃぐちゃに散らかっている。

人の部屋をなんだと思ってるのか。

そういうことを総体して言おう。


「出てけ」

それだけ言うと、私はそのまま二人を寒空の下放り出した。