そして数日後…。
図書室。

俺は小さな分厚い本を片隅で読んでいた。

…何か凄くモヤモヤする。

はあ、本読んでも頭からあの言葉が離れん。


『それさ、弧奇墨の事好きなんじゃ無いの?』


…いやあり得んし。

まあ、取り敢えず今は本を読もう。

放課後だし。


……無理だわ。

俺は本を戻そうと背伸びをする。

あれ、届かねぇ。

いや、あと少しで…!!


すると誰かが俺が持っていた本を戻してくれた。


「あ、ありがとう…!?」


「?どうしたの?」


なんでこーゆー時に弧奇墨に会うんだ…。

てか、今此奴俺に触れたよな?

何で拒絶反応が出て来ないんだ?

もしかして本当に…。

いやいやあり得んし!!

むしゃくしゃしながらも俺は弧奇墨に話しかけた。



「め、珍しいな弧奇墨が図書室にいるなんて。」

「そう?まあ確かに本あんま読まないけど。」

「そ、それじゃあ俺は先に戻るわ。
じゃ、じゃあな。」

「うんバイバーイ。」


弧奇墨に手を振りながら俺は図書室を出た。

…何この心臓音!!

すっごい五月蝿いんだけど!!

しかも何か顔熱いし…。

あーもうヤダ。

部屋もーどろっと。





数分後・自室


「た、ただいま天病。」

「おはへひ〜。」

「何食ってんだお前。」

「ほへひ。」

「嗚呼、ポテチね。」


ごくん、と天病が喉を鳴らして飲み込む。


「弧奇墨にあったでしょ?」

「ブーーーッ!!」


飲んでいたお茶を思いっきり吹いた。

そりゃそうなるでしょ。

何、此奴エスパー?

俺の記憶でも読んだの?



「な、何で知って…。」

「えーだって顔赤いし、目が泳いでる〜。」

「うわぁ、流石天病だわ。」

「ウェーイ。」

「…ポーズいらん。」



此奴はホントに侮れんな。

俺の何もかもを知ってそうで怖い。

こりゃ敵にまわしたらあかん奴や…。

て、そんな事はどーでもええんやけどな。

なんかもう関西弁になってきとる…。

まあそんな事はどうでも良いとして!!



「コホン…。お前ライクルブルズ使ったな…?」



「…バレた…?」



「バレた?じゃねぇよ馬鹿野郎!!
ライクルブルズの使い方間違っとるわ!
戦闘に使えよお前は!
くだらんことで使うな!!」



俺は取り敢えず天病を罵倒、罵倒。

大声で凄い罵った。

だって、ねぇ?

ライクルブルズを俺の恋愛事情に使うかな?

って、別に好きって決まった訳じゃないけど!!

コホン。

まあ、取り敢えず面倒だしそれは置いとこう。


「…ところで何してるんだお前。」


「見る〜?」


「見る。」


天病は俺にスケッチブックを見せてきた。

そこに描かれた絵は残酷なものだった。

天病の好きな人だった。

眩しいくらいの笑顔で天病と居る。


「…楽しい?」


「うん!!」


即答かよ。

此奴にとっては残酷なはずなのに。

何で笑顔でそんなん描いてんだよ。

俺なら耐えきれない。

やっぱ此奴には敵わないな。

俺より心が強い。

…天病すまないな。

俺はお前の救いにはなれないよ…。