そして、あやめを振り向き、
「お前は行くなよ」
と言ってくる。

 今更行くわけないじゃないですか。

 っていうか、あのときも人数合わせで行っただけだし、と思っていたのだが、基は、
「お前が行ったら、みんな、お前がいいと言うに決まってるじゃないか!」
と主張し始める。

 高倉が、
「……最近、こういう馬鹿馬鹿しい会話を聞くと、朝だなあって思うんですよねー」
と基の横で呟いていた。

 いや、そんなに毎朝、こんな話してませんよ、とあやめは俯き、赤くなる。

 だが、そういえば、内藤が同期会は、今週の金曜にしようかと言っていた気がする。

「金曜コンパなら、同期会また駄目ですね~」
とあやめが笑うと、

「同期会になど行かなくていい」
と基がまた無茶を言い出した。

 とんだ嫉妬深い夫になりそうだ、と思いながら、あやめは、
「……専務~」
と眉をひそめたのだが、ふと思いつく。

「そうだ、専務も来ればいいじゃないですか」

「なにっ?」