恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―



「おいしそう」
「ね。好きなものだけ食べられるし、同窓会はこういうスタイルがいいよね」

軽食がたくさん並ぶテーブルにテンションがあがる。色んな料理を少しずつ食べられるのってお得感があって好きだなぁとホクホクした気分で取り皿によそっていると、後ろから声をかけられる。

「千絵、瑞恵」

振り返ると、幹事の美香がニコニコとした笑顔で立っていた。
黒いワンピースに薄い黄色のカーディガンを合わせている。

もう酔っているのか、頬がほんのりピンク色だ。美香がふらふら歩くから、ワインレッドの高いピンヒールがカクンといくんじゃないかと見ていてハラハラする。

「美香、幹事お疲れ様。ありがとね。お店の手配とか大変だったでしょ」

出欠席の確認からお店選び、そして予約まで全部美香がしてくれたらしい。
だからお礼を言うと、美香は「全然」と首を振った。

「こういうの好きだし。それに、私が集まりたいなーってタイミングで開けるから最高じゃん。毎回私が幹事やっても全然いいかもーって思ってる」
「そういえば美香、高校の頃の体育祭とか学園祭とか〝祭〟がつくもの全部実行委員やってたよね」

「そうそう。『他の人になんか任せてらんない!』って張り切っちゃって……美香がすごいやる気で仕切るから、士気が上がってうちのクラスだけ異様に盛り上がってたよね」

当時を思い出して笑う瑞恵につられ、私も笑う。

美香が私の取り皿からサンドイッチをつまみながら「だって、ああいうの好きなんだもん」と照れ笑いを浮かべる。

「でももう、あそこまでの気力はないなぁ。本当、年とったー」

美香がハムとチーズのサンドイッチを食べながらおおげさに天井をあおぐ。
その様子にくすくすと笑っていると、首の角度を元に戻した美香が「そういえばさ」と話題を変えた。