「へぇ。じゃあ、千絵はまだ同じ会社で頑張ってるんだ。私なんかもう三社目だよ。こうなってくると、会社が悪いんじゃなくて私に働く適性がないんじゃないかって思えてくるよね」
三年ぶりの再会を喜んだあと、お互いの近況報告を済ませる。
高校の頃、学年トップの成績だった瑞恵は去年転職したらしい。黒いパンツスーツ姿がとても様になっていてカッコいい。
「転職する勇気がまずすごいよ。簡単な決断じゃないもん。それに次々面接受かるのってすごいと思う」
「んー、でも、千絵は嫌なことがあってもずっと同じ場所で頑張り続けてるわけでしょ。それだってすごいよ。たぶん、私根性があんまりないんだよね。そのくせ、学生時代成績がよかったっていう変な自信だけはあるから……やばい。やっぱり私の問題に思えてきた」
冗談半分で嘆く瑞恵に、「そんなことないよ」と笑う。
「今回の会社は瑞恵に合うといいね」
「そうね。考えてたところで今さらだし明るくいくことにする」
割り切ったように言った瑞恵が、フロア内に視線を向ける。
「それにしても、みんな変わったよねぇ。三年前の同窓会ではそこまで思わなかったけど、今日集まってみたら、やっぱり大人になってるなって思った」
今日集まったのは、五十人ほど。
幹事の美香がSNSで繋がっている同級生だけ呼んだって話だけど、それにしては人数が多くてびっくりした。
男女の比率は、4:6といったところだろうか。それぞれ、グループになり話しているけれど、どこも盛り上がっている。
その中に瀬良さんの姿を見つける。
営業部は、いつもだったら残業している時間帯だ。忙しいだろうに、よく都合がついたなぁと思いながらフロアを見回す。
男子はほとんどがワイシャツ姿だ。女子はしっかりしたワンピース姿の子もいれば、ジーンズの子もいる。とりあえず、自分の服装が浮いていないところにホッとしつつ、瑞恵に誘われるままお料理コーナーに向かう。



