恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―



いい大人だし、お節介かもしれない。でも、あの人は自分のことに無頓着な部分がある気がするし、それに私にはちょうど時間もある。

……まぁいいか。お節介でも。
そうひとりでうなずき、コンビニの自動ドアをくぐった。


コンビニから出たところでメッセージアプリを開く。
〝今、会社ですか? 少しでいいので会えませんか?〟というメッセージには、割とすぐに返信があった。

〝外に出ている。今、駅から会社に向かってるところだ。急用か?〟
〝いえ。たいした用事じゃありません。じゃあ、私も駅に向かいます。途中ですれ違いましょう〟

会社からコンビニ、そして駅までは一本道だ。すれ違うこともない。
メッセージが既読になったことを確認してから駅に向かい、五分ほど歩いたところで、前方にマスクをした北川さんの姿が見えてきた。

今日は晴れだし温度も二十四度と、五月にしてはだいぶ高めだ。それでも、クールビズの時期ではないため、行きかうビジネスマンはしっかりとスーツを着ている。
もちろん、北川さんのいでたちもそうで、男性は大変だなぁと可哀相になった。

ちなみに、私の格好はというと、薄いサックスブルーに白いストライプ柄の入ったワンピースに白いカーディガンだ。
ベルト替わりにウエスト部分で蝶々結びができるワンピースはノースリーブだから、上にカーディガンを羽織っていて調度いい。

同窓会が開催されるのはダイニングバーで、参加希望だってSNSで繋がっている範囲で行われたような軽いものだ。そんなカッチリした服装でなくても大丈夫だろうと思い、選んだコーディネートだった。

途切れることなくビジネスマンやら学生が行きかう大通り。北川さんとあと数メートルという場所で立ち止まる。