北川さんが私の顔色を探るようにじっと見ているから「なんですか?」と首を傾げると、ややしたあとで北川さんが口を開いた。
「勘づいてしまったから聞くが。白石が忘れられない相手っていうのは、瀬良なのか?」
直球すぎる問いに、思わず声をのむ。
北川さんが、女性恐怖症だからといって、そういう面に鈍いだとかそんな風に思っていたわけじゃない。
でも、まさかあれだけで気づかれたなんて想像もしていなかっただけに、すぐに声が出てこなかった。
それに、たとえ気づいたところで、恋愛関係の話題を突っ込んで聞いてくるようなひとだとも思っていなかっただけに意外だった。
興味がないことは〝どうでもいい〟とドライに流しそうなものなのに……と目をしばたたかせながらも、苦笑いをこぼしうなずいた。
北川さんのこれだけまっすぐな眼差しを受けながら、誤魔化そうとは思わなかった。
過去のことだし、第一、北川さんは言いふらすようなひとじゃない。
コクンとしっかりとうなずいた私を見た北川さんは、ひとつ息をついてから目を伏せ、水を飲んだ。
「また、難しい男を好きになったもんだな」
「本当にそうですよね。愛想がいいからやたら人気があるし……片想いする相手にしては難解すぎます」
高校の頃も、そして今も、瀬良さんの周りには常に女性がいる。
すぐに思い浮かべられる光景に胸が締め付けられるのを感じながらも笑うと、北川さんが「きっかけは?」と聞くから「もともとは幼馴染なんです」と説明する。



