このメッセージを女性社員に見せてあげたい。
文字なのにすごい威圧的でしょ、北川さんって本当はこんな男なんですよって大声で言ってやりたい。

……でもその前に、北川さんとメッセージをやり取りしている私の身が危ないのが悲しい事実だ。

それに、北川さんにはベッタリとついてしまったイメージがある。
紳士的だとか冷静沈着だとか仕事ができるだとか、そういった〝できる男〟って感じのイメージが。
そんななか、私がなにかを叫んだところで、嘘つき呼ばわりされるのは私のほうだ。

結局、世の中なんて弱い者に損にできているものなんだな……。なんてむなしいんだろう。

液晶画面を眺めてから、新たなメッセージを送る。

『病院行きましょう』
『病院はもう行ったことがある。カウンセリングも受けた』

ややして返ってきたメッセージを見て驚く。

なんだ、もう行っていたのか。
本気で治したいと思っているのは本当らしい。

病気、なんだよなぁ……。ただの好き嫌いじゃなくて、トラウマからかかってしまったれっきとした病気だ。

そして、北川さん自身ではどうにもできなくて、こんな私なんかに救いを求めている。

〝こんな私なんか〟と考えた途端、胸の奥が鈍く痛むのを感じ、ひとつため息を落とした。

『今日のお店、私知らないので。お店の地図、あとで送ってください』

それだけ送り付けてから、仕事に戻ろうと今度こそ席を立った。