恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―



「じゃあ、ここで解散になるので、各々気を付けて帰宅してくださーい。家に帰るまでが社員旅行ですからー」

今回、社員旅行をまとめていた社員の声で、解散となる。
バスで帰る社員と電車で帰る社員がばらばらと歩き出すなか、バス組の柿谷先輩と別れる。

私は電車だけど、社員がたくさん乗り合わせる電車で帰るのもなんとなく嫌で、適当に時間を潰してからホームに入ることにした。

駅前にある本屋にするか、カフェにするかを悩み、でも一泊旅行の荷物を持ったまま本屋に立ち寄るのもな……とカフェを選んだとき、後ろから呼び止められる。

構内にあるカフェに入る一歩手前のところだった。

「白石」
「あ、北川さん。お疲れ様でした。バス、大丈夫でした?」

社員旅行は、行きも帰りも駅から旅館まではバスだった。北川さんの隣は男性社員だったけれど、当然、同じ車内には女性もわんさかいた。

行きは大丈夫だったと聞いていたから、帰りはどうだっただろうと気にすると、北川さんは「問題ない」と答えた。

「よかったです」
「ああ。ところで、これから予定は?」
「いえ。とくには。今、電車に乗ると他の社員がたくさんいそうで気まずいので、時間をずらすためにお茶でも……と思ってたところです。北川さんは?」

ここは構内ではあるけれど、ホームからは離れていて場所も奥まっている。目当てのお店でもなければこっちまではこないだろうという場所だ。

だから聞くと「白石を探してた」と返事をされる。

どうして……と声が出てこなかったのは、北川さんの瞳に浮かぶ熱に気付いたからだ。
昨日の旅館でのことが一気に頭に思い出され、顔が熱くなったのが自分でもわかった。