「ごめんね。私も今まで嫌な態度ばかりとっちゃったと思う。今の瀬良さんと、昔の瀬良さんは違うのに……一緒くたに考えて、ひどい態度をとった。だから、ごめん」
謝ったあとで視線を合わせると、瀬良さんの目が見開かれる。
驚いたような顔をする瀬良さんを見ながら続けた。
「私も、これからはちゃんと同僚として接する。感情的にもならないように頑張る。だから、瀬良さんも――」
「なんだよ、それ……」
ずっと、心の中でも態度でも、瀬良さんばかりを責めていた。
浮気されたからって、それを免罪符みたいにして、本当にずっと。
瀬良さんを想っていた気持ちが大きかったぶん、ひと一倍傷つけられた気分になっていた。本当に、悲劇のヒロイン面もいいところだ。
けれど、私のそんな態度はきっと正しくなかった。
これからも恋人としての関係を続けていくのなら、それでもよかったかもしれない。でも、私たちの場合はただの同僚として付き合っていくのだから、いつまでも過去に囚われていてはいけなかったんだ。
ちゃんと割り切らなければいけなかった。
悪いのは、私も同じだ。
だからそれを謝ろうとしたのに、瀬良さんに止められる。
見れば、険しい顔をした瀬良さんが私を睨んでいた。
ここまで怒りを露わにした彼を見るのは初めてで、声を失う。
「ただの同僚として感情的にならないように頑張る? なんだよ、それ」
吐き捨てるように言った瀬良さんは「だったら、元恋人として感情的になってくれたほうがよっぽどいい」と、私を見つめる。
その瞳の熱量を受け、体が動かなくなる。まるで、金縛りにでもあったみたいだった。
努めて落ち着かせていた心臓が、トクトクとわずかに速度を上げていく。



