私が勤務するのは大手ハウスメーカーだ。その中で、本社のアフターサービス部に配属されて二年二か月が経つ。
主な仕事内容としては、うちのメーカーで家を建てた方からかかってくる電話対応や、そのお客様と業者の橋渡し、それに築五年以内のお客様へのアンケートの郵送など。

お風呂が壊れてもキッチンが壊れても、玄関の立て付けがおかしくなっても、もっと言えば電球が切れたとしても、お客様によっては一番にうちに電話がかかってくる。
そんなお客様に安心してもらえるようしっかり対応するのは、最初の一か月こそ知識がなくあわあわしていたけれど、二年と少し経った今は、だいぶ色んな事態に対応できるようになってきた。

アフターサービス部に配属されているのは、部長、柿谷先輩、私の三人で、社内でも一番少人数の部署になる。
お客様からの電話がここに直接つながるのは九時から十七時までで、あとの時間は夜間受付という部署が対応している。夜間受付はとりあえずお客様からの聞き取りを行うまでが仕事だから、私たちアフターの仕事は、前日の夜間分を確認して、お客様へ電話を折り返すことから始まる。

そして、あともうひとつ。大事な仕事のひとつが、モデルハウスでの受付業務だ。
基本的には柿谷先輩と私で交代して担当しているけれど、人手が足りないときには他部署にお願いすることもある。
土日祝日なんかは、営業部に任せたりもする。

十六時に先輩と交代して、十七時を回ったところでモデルハウスの鍵を閉めて回る。アポがある日はその時間まで空けておくけれど、特に何もない日は基本的に十七時で閉めて、そこから部署に戻り残った仕事に取り掛かるのがいつもの流れだ。

モデルハウスの玄関の鍵も閉め、敷地内に建つ本社に戻る。十七時過ぎの空はまだまだ明るく、もう夏だなぁと歩きながらそれを眺める。

空の色もすっかり夏色だ。

十一階建ての建物の、二階にある部署に戻ると、私の顔を見るなり柿谷先輩が声をかけてきた。