恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―



「自分に自信がなくなっちゃって、不安で仕方なくなるんです。私がどんなに頑張ったところで、あの人には到底及ばなくて……瀬良さんを信じようって思うたびに、そういう自分が、どんどん、みじめになっちゃって、逃げ、られなくて……」

涙が混じるせいだろうか。声が途切れ途切れになってしまう。

「自分のこと、ダメだなって思うと、すぐ瀬良さんとあのひとが頭に浮かんで……関係ないことでも、全部そこに、結びついちゃって」

浅い呼吸しかできないせいで、苦しくてたまらない。
頬を流れる涙がやけに熱く感じた。

「瀬良さんといる限り、私は、気を付けていたって、どこかで〝私なんか〟って思っちゃう、から……っ、苦しくて、だから私……」

「白石。少し移動しよう」

手首を掴まれ、引きずられるようにして歩く。
自分の足なのにうまく動かせず、どうしてこんなに足取りが重たいんだろう、とわけがわからずにいる私の肩を、北川さんが抱く。

服越しに感じる手は力強く、温かくて、その温度にわずかにホッとしていると、北川さんが立ち止まる。

駅と駐輪場の間にある通路に人気はなく、どうしてこんな場所に……と不思議に思っていると、北川さんが聞いた。

少ししゃがみ、私と目線を合わせてくれている。

「顔色が悪いこと、自分でわかってるか?」
「え?」
「呼吸のリズムもおかしい」
「呼、吸……?」

そういえば、気持ちを吐き出すのに必死で気づけなかったけれど、話している途中から苦しかった気がする。

意識して初めて、自分の呼吸が異常に速いことに気づいた。
浅いどころじゃない。