「貴方が頼れるのは、私だけでいいのに」

ほら、困った顔をした


そんな顔、させたい訳じゃないのに



「なぁ?あたし志木のこと頼りにしてるで!あんたが思ってるよりもずっとや。でも、泉達のことも、頼りにしてる。
話して見てわかったやろ?泉の事が。あたし達よりもずっと、真っ直ぐな人やろ?」



可愛い顔で微笑む


妬いてるんですよ


後から出てきた、日も浅い男達です。
正直、その辺の害のない虫程度にしか思っていませんでした。

でも



今日私の目の前で、杏を笑顔にしてあげたいと言ったあの男は…


とても真っ直ぐで男らしく


杏様を、明るく照らすような男だった



あの時私は、本気で殴りかかった
躊躇いなく


それを受け止めて驚いた顔をした、泉という男の顔を、私は忘れないでしょう



あの男を見て、昔、杏様に言われた事を思い出した



『志木はあたしと一緒に、どんどん落ちていくタイプやな』


その言葉の真意は、その時は分からなかった。

あなたとなら、どこまでも


そう思っていました