私は上靴を持って廊下に出た。
窓の下にはクラスごとに、個人の荷物を入れられるロッカーが設置されている。
自分のロッカーの扉を開けて、上靴をとりあえずそっと入れた。
赤いペンで書かれた汚い言葉たち。
「ひどい……」
読みたくなんてないのに、目に飛びこんでくる。
もうすぐ朝のホームルームが始まる。
担任の先生が向こう側から歩いてくるのが見えた。
男性で背も高く、距離があっても私達の担任の先生だとわかる。
「越野さん、どうかしましたか?」
先生の不思議そうな声。
「なんでもないです」
とりあえず、そう答える。
先生は少し間を置いてから、
「じゃあ、教室に入りなさい」
と教室の扉をガラガラ開けた。
「ホームルームを始めます、着席してください」
私も教室に入る。
桜井さんがじっとりした目で私を見つめていた。



