メリーゴーランドは空席

「キャハハハハハ!」
桜井さんは楽しそうに笑う。


「おいおい、やり過ぎじゃね?」
男子の誰かが桜井さんに向かって言う。
「越野さん、泣きそうじゃん。何があったのか知らないけどさ、もういいじゃん」

「『何があったのか知らない』なら黙っててくんない?」
ピシャリと桜井さんは言う。



「可愛いかわいい、越野さん。男子はみんなあんたに夢中だよね」
今度は桜井さんが私に近づき、私の肩を小突いた。


「分かってるよね?」
私の耳元で囁くように桜井さんは優しそうな声で言った。




「こんなもんじゃ済まされないんだから」




桜井さんはポニーテールの女子とにっこり微笑んでから、
「あ〜ぁ、おっかしーー!」
と何事もなかったかのように自分の席に戻って行った。