あの日と同じ質問をしてみる。
センセは興味なさそうな顔をしている。


「センセと、行事を楽しむためですよ」


今度は理解不能という顔。
面白いくらい顔に出ていて、笑いそうになる。


「学校の外で、センセとハロウィン楽しむなんて絶対に出来ないじゃないですか」
「当たり前よ。生徒との距離が近すぎるのも問題なんだから」


ほぼ無表情のセンセに戻ってしまった。
センセはやっぱり、教師という仕事が好きなんだろう。


「……でも俺は、センセにもっと近付きたいです」


そう言って一歩踏み出すと、センセは一歩下がった。


逃げられてしまうより先に距離を縮め、センセを捕まえる。
逃げようとしているセンセが、可愛くて仕方ない。


俺はそんなセンセをマントの中に閉じ込める。
センセは俺の胸を押すけど、その力はとても弱かった。


「こういうことしないで。……困る」


目を伏せるセンセを、抱きしめたい衝動に駆られる。
困らせておきながら、その表情に理性を壊されて、センセを襲いそうで、自分が困った。


「……悪ふざけはするなって、怒らないんですね」


なんとか理性を保った結果が、これだ。


センセにさらに嫌われてしまう。