烏が鳴く頃、その呪いは現れる。



放課後、学校からの帰宅途中。



とぼとぼと帰路を急ぐ私の足元で、水溜まりがパチャッと音を立てる。



今日の学校も、全然楽しくなかった。




いつも通りだから、今日が特別楽しいはずもないけど。




特に、テストでいい点取ったはいいけど…あんな風に言われて……いい気分はしない。




はぁ…、もう学校行きたくないなあ。




小学校で、友達もほとんどいなかったし…。




「はぁ~…」




「なーにため息ついてんの」





トンっ





「わっ」




急に背中を押され、足に力を入れる。



後ろを振り返ると、太陽のような笑顔が私に向いていた。




桧山佐月(ヒヤマ サツキ)くん。




同い年で、同じ学校の…私のいとこだ。




この笑顔は、誰から継いだんだろう。眩しすぎて目が開けられない。




「俺、今日塾だからこっちの道なんだ。途中まで一緒に帰らねぇ?」




「うん、いいよ」





「テスト返されたかー?俺さ、特に歴史が___」




佐月くんの話を、片耳だけで聞いて脳内に送り込む。




隣で一緒に歩いている佐月くんは、勉強があまり得意ではない。




特に歴史が。この前のテストは、一桁…?だったような。




「てことで亜子!俺に勉強を教えておくれよ!」





「ふふっ、いいよ。特に歴史ね。頑張らないと」





「ありがと!!勉強してるのに、全然点数が上がらなくてさあ__」





カァー、カァー!!





「な、なに?」





「カラス…の鳴き声か?」





佐月くんが話をしている最中で、かなり近くの巣からカラスの鳴き声が聞こえた。




カラスは真上の電柱に止まり、真っ黒な瞳を私に向ける。





「……っ…」





なんだろう、この目は…。




ドクッと、心臓が変な音を立てる。





烏の目は、そらさずに私に向いていた。





「なんか、あの烏…こっち向いてないか?」



「うん…見られてる気がする」




すると、烏は羽を広げて空を飛ぶと…奥の山へと飛んでいった。




「ちょっと怖かったな」




「…うん。」





普段、烏に目を向けないのになぁ…。





私と佐月くんは、足早になってその場を去った。