あの最低最悪のダブルデートの翌日。

私は朝から高熱を出して、仕事を休むことになった。

雨に打たれてずぶ濡れになってしまったんだから、仕方ないのかもしれないけど、これで仕事に行かなくて済むのかと思うとホッとしてしまう自分が情けなかった。

会社に発熱で休ませてほしいと電話するとこんなことを言われた。

『もしかしたらインフルエンザかも知れないから、ちゃんと病院行って検査してもらいなさい。もし陽性だったらすぐに連絡すること』

そういえば最近、会社内でインフルエンザがプチ流行中だった。

まさかとは思うけど、検査してもらわないとな。

瀬名くんは大丈夫だったかな……。

私を家まで送ってくれたから、瀬名くんの方が濡れてる時間長かったんだもんね。

風邪ひいたりしてないといいけど。

結局昨日は未来にも友也にも電話する事が出来なかった。

瀬名くんにはその場しのぎで『あとで電話する』なんて言ってしまったけど……。

あんな場面を目撃してしまったのにできる訳がない。

昨日帰宅してからずっと携帯も放置したままだった。

電話かける気もなかったし、かかってきたとしても出たくなかったから。

いつも寝ている間に充電するけど、昨夜はそれもしていない。

きっと充電切れになっているだろうけど、そんなことももうどうでもよかった。

午前中に内科を受診し検査した結果、インフルエンザB型の陽性反応が出た。

昨日雨に濡れたせいで風邪を引き発熱したのだと思っていたのに……。

インフルエンザは発症後五日を経過、なおかつ解熱後二日を経過しなければ出勤できないと決められている。

受診後すぐに会社に連絡すると、上司から今週中は出勤停止を言い渡された。

私がインフルエンザになったからと言って、誰も心配してくれる人なんていないだろう。

誰かが私に会いに来たとしても、面会謝絶だから会わなくて済む。

一人になれるのなら、インフルエンザになって良かった。

これで何も考えなくていい。

もう私なんてどうなったって構わない。

このまま消えてなくなってしまえたらいいのに…………。